会長挨拶
皆様、こんにちは。熊本市小学校英語教育研究会の会長を今年度から務めます岡田実と申します。本研究会会員の皆様方のご協力を賜りながら、研究会の充実・発展を通して熊本市の子どもたちのコミュニケーション力(資質・能力)育成ために取り組んでまいります。どうぞ、これからも皆様方のお力をお貸しください。
熊本市小学校英語教育研究会は、平成22年度に熊本市小学校外国語活動研究会として発足して以来、小学校外国語教育に熱い思いを持った会員を中心に、活発に研究を進めてまいりました。そして、昨年度は、本会の諸先輩方の連綿たる、その熱い思いを昨年度までの会員の皆様が受け継ぎ、第19回全国小学校英語教育実践研究会(熊本大会)を実りある学び多き大会として成功裏に終わらせることができました。これもひとえに子どもたちにコミュニケーション力(資質・能力)を育みたいと熱い思いを抱いてこられた皆様のご尽力の賜物です。ここで、改めて感謝申し上げます。
今後とも、毎年行われる3学期の熊本市小学校授業研究会や毎月の本会の学習会を中心に、昨年度までの取組を生かし、熊本市の小学校外国語教育実践の発展に寄与することを目指していきます。そこで、様々な学びの機会において、以下の4点を共有していきながら、子どもたちへのコミュニケーション力(資質・能力)育成のための、教育実践の向上をしていきたいと考えます。
その前置きとして、令和2年度から小学校で全面実施となった現行の学習指導要領の外国語及び外国語活動では、小学校、中学校、高等学校の外国語教育を貫く、コミュニケーション力(資質・能力)育成が謳われています。この教育理念を正しく理解し、深く認識することにより、私たちの外国語教育実践を向上させたいと考えます。
1つめは「言語活動」についてです。現行の学習指導要領から、外国語教育における「言語活動」とは、「外国語を用いてお互いの考えや気持ちを伝え合う活動」のみとなりました。この定義では、単なる、単語や語句、文等のリピートやパターン・プラクティスなどは言語活動ではなくなりました。このことを踏まえた「言語活動」が、できれば質・量共に、授業の8割を占める授業づくりを模索していかなければならないと考えます。
2つめは「コミュニケーション力(資質・能力)」についてです。単的に言えば、コミュニケーション力とは英語(外国語)力ではありません。すなわち、英語(他の言語でも同様に)の単語力や文法力(併せて言語能力)は、コミュニケーション力(資質・能力)と同義ではありません。言語能力に併せて、談話能力、社会言語的能力、方略的能力の4つの構成要素からなるのがコミュニケーション力(資質・能力)です。「コミュニケーション力(資質・能力)は、コミュニケーションを図っている最中にしか培われない。」という考えを土台として、私たちは、外国語・外国語活動の授業を、決して座学ではない、言語活動(コミュニケーション活動)の授業を実践していく必要があります。
3つめは「指導と評価の一体化」についてです。単的に言えば、このキー・ワードは、「指導改善による学習改善」です。そのために評価を活用します。子どもの個人内評価も含めた観点別学習状況の評価等を踏まて、授業者は指導改善に努め、学習者の学習改善となるようにしなければなりません。「指導と評価の一体化」の正式名称は、「PDCAサイクルを軸とする目標に準拠した指導と評価の一体化」です。一人一人の子どもたちの学習状況から得た評価を授業者自身の指導改善に生かさなければなりません。そして、このPDCAサイクルを繰り返し、指導改善を続け、子どもたちの学習改善につなげていけるように取り組んでいく必要があります。
4つめは「小中連携」についてです。日本の外国語教育は今や、小学校の外国語教育をベースに展開しています。中学校での外国語教育が、このことを踏まえて実践(改善)されていくことを願っています。そして、そのためには、小学校の授業を中学校関係者に公開していく必要があります。
最後に、「小学校でしかできない、小学校ならではの、小学校文化に根差した外国語教育(多くの教科等を一人で教える小学校の担任が、その経験をもとに、児童の他教科等での学びを活用して展開する外国語教育)」を胸に日々の授業実践に取り組みながら、本会で縁あってご一緒になる皆様と、日々の授業実践を共有して、授業の悩みなどを語り合い、新たに元気と希望をもらう会となるよう祈りながら挨拶といたします。
令和6年6月
熊本市小学校英語教育研究会
会長 岡田 実